1.テンサイ変異ミトコンドリア遺伝子の発現解析 前年度明らかにしたatp6プレ配列(pre-atp6)以外に、CMS株ミトコンドリアに固有のポリペプチドが存在するか否か、in organello翻訳実験を行った。その結果、pre-atp6と思われる位置にCMS株固有バンドが生じた以外は、正常株とCMS株で差異は見られなかった。 2.CMS発現に関係する核遺伝子の解析 前年度に得られたRfに連鎖するマーカーの分離を、異なる交配組み合わせの集団で調査した。その結果、花粉稔性回復との連鎖が確認され、組み替え価もほぼ同じであることがわかり、これらのマーカーの有効性が確認された。さらに得られたマーカーの帰属する連鎖群を、公開されているテンサイRFLPマーカーを用いた連鎖解析により決定した。その結果、全てのマーカーはKielIII/KoelnIVに位置することが分かった。 Rfのポジショナルクローニングのため、テンサイBACライブラリーの作成を試みた。テンサイ緑葉より高分子DNAを単離し、HindIII部分分解により生じた200-500kbの画分をpBeloBAC11に連結し、大腸菌を形質転換した。その結果、約3万クローンを集めることに成功した。予備的に調査したところ、平均挿入断片長は約100kbであった。 3.人為的ミトコンドリア機能不全株作出の試み 前年度に作成したアンチセンスPDHE1aタバコについて、正常株の花粉を交配して種子を得、後代検定を行った。その結果、不稔性が後代にも伝達されることが分かった。
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