研究概要 |
近年の分子遺伝学の発展にともない、制限酵素断片長多型(RFLP)を利用した染色体の精密な連鎖地図(RFLP連鎖地図)の構築が可能となり,多くの栽培植物で有用遺伝子の近傍に位置する分子マーカーが得られるようになった。さらに最近では、イネの白葉枯れ病耐性遺伝子(Xa21)など農業上きわめて有用な遺伝子がポジショナルクローニングされ、その分子機構が明らかにされようとしている。また、RFLP連鎖地図は複数の遺伝子によって支配されている量的形質の遺伝分析(QTL分析)にも活用されており,現在の育種学,遺伝学の基礎となっている。ソバにおいては,当研究室によりアイソザイムと二花柱性,半わい性,有限花序,粒の形,色などの育種上重要な形態形質に関与する遺伝子について連鎖関係が明らかにされてきた(Ohnisi et al.1987)。しかしながら,現在のところ、いわゆる分子遺伝学的な手法を用いたソバ染色体の精密な連鎖地図は存在しない。このような背景のもと、私は普通ソバにおいて,有用遺伝子導入のための分子マーカーの検索,ポジショナルクローニング及びQTL分析が可能な精密なRFLP連鎖地図の構築を行っている。 現在までに、(1)F. esculentumとその近縁野生種F.homotropicumのF1個体の作出、(2)F.esculentumとF.homotropicum間でのRFLPマーカーの選抜を終えている。今後、F2個体を100個体程度用い、RFLP分析を行い連鎖地図の構築を目指す。
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