研究概要 |
リンゴの果肉の抗酸化能に関わるカテキン類,プロシアニジン類および数種の主要フェノール物質を比色法,TLC法およびHPLC法により分析し,果実の発育中および貯蔵中の含量・組成の変化を調べるとともに,果肉抽出物および画分の抗酸化活性を調べた.また,数種のセイヨウナシ果実についてポリフェノール含量を比較した. 1. リンゴ‘つがる'および‘ふじ'の両品種の果肉のポリフェノール成分はプロシアニジンポリマーが最も多く,酢酸エチルで抽出されるフェノール物質においては,主要な成分はクロロゲン酸,(+)-カテキンおよび(-)-エピカテキン,プロシアニジンオリゴマーおよびフロリジンであった.1果当たりでのカテキン・プロシアニジン類の含量は果実の発育に伴い増加し,カテキン単量体およびプロシアニジンオリゴマー含量は果実発育中期に多くなり,以降,成熟期にかけて減少したが,ポリマーについては成熟期まで増加する傾向が認められた. 2. リンゴ果肉抽出物の抗酸化活性は,等濃度の標準(-)-エピカテキン溶液のそれと同程度であった.低分子画分と高分子画分の活性は,測定系によって抗酸化活性の優劣が若干異なった. 3. 5℃で貯蔵したリンゴ‘つがる'果実において,総ポリフェノール含量,カテキン類,二量体のプロシアニジンおよびプロシアニジンポリマーの含量が増加したが,三量体と四量体の総量は減少し,消失した. 4. セイヨウナシ果実の中では‘ゼネラルレクラーク'と‘シルバーベル'のポリフェノール含量が比較的多く,‘バートレット',‘マルゲリットマリーラ'および‘ラフランス'はそれらの半分以下の含量であった.また,各品種ともに総ポリフェノールの40〜60%をカテキン・プロシアニジン類が占めた.
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