本11年度は、西南目本及ぴ南西諸島(沖縄本島)において3回にわたる現地調査を実施し、非休眠性ハナカメムシ類を探索した結果、以下のような実績を得た。尚、一部のデータは、別紙記載の出版物に公表済みである。 1.沖縄県における探索調査(6月下旬) :本調査は、沖縄県農試の協力を得て実施した。この調査によって、タイワンクズから未知のヒメハナカメムシが発見され、精査の結果、未記載種であることが判明したので、学術誌に記載発表した。数頭の雌個体から採卵し、飼育を試みたが、害虫であるロビンネダニを餌として良好に発育した。暖房が施されていれば、日本本土の施設でも利用できると思われ、特にダニ類の防除に有効であるとも考えられる。 2.紀伊半島南部における探索調査(11月下旬) :本調査では、田辺市から古座町にかけての太平洋沿岸地域において採集調査を行った。主に露地栽培の野菜と河川敷等の乾性草地でネットスウィーピングを実施したところ、約180個体のヒメハナカメムシ類を得た。これらを同定した結果、南方系のタイリクヒメハナカメムシが80%以上を占めていることが判明した。 3.四国太平洋岸地域における探索調査(2月中旬) :この時期は、多くのハナカメムシが冬眠しているが、南国市と周辺地域の施設で調査を実施したところ、多くのタイリクヒメハナカメムシが見いだされ、アザミウマ類を捕食するのが観察された。他の近縁種の混棲は全く認められず、タイリクヒメハナカメムシが、2の調査結果と併せ、西日本の冬期施設栽培において最も有効に働いていることが改めて示唆された。
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