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1998 年度 実績報告書

ナミハダニの食性幅を制限するトレードオフの検出

研究課題

研究課題/領域番号 10760030
研究機関京都大学

研究代表者

矢野 修一  京都大学, 農学研究科, 助手 (30273494)

キーワードナミハダニ / 食性幅 / トレードオフ / 人為選抜 / 近親交配系統
研究概要

ナミハダニがある植物にどれだけ適応しているかを測る指標に、雌成虫の産卵数を用いた。まず、質の悪い植物でハダニの産卵数を個体別に調べて、それが一定以上の個体を人為選抜した。この手順を数世代続けると、その植物での産卵数が多くなった選抜系統ができた。一方、もとの実験個体群から、選抜系統と同数づつの個体をランダムに選んで対照系統をつくった。異なる植物での産卵数にトレードオフがあるなら、選抜系統は他の植物で産卵数が少ないはずであるが、選抜系統の産卵数は他のあらゆる植物でも多くなり、トレードオフは否定された。
次に、マメの葉を餌にしてハダニの近親交配系統(遺伝子型)を16系統育て、それらの雌成虫の産卵数を異なる科の10種の植物について測った。任意の植物ペアに対する各系統の産卵数をXY座標にプロットし、それが負に相関すれば両植物への適応にトレードオフがあるといえる。しかし、全ての組み合わせ45通りのうち、トレードオフの傾向が出たのはわずか3例で、残りは正に相関した。その理由は、どの植物でも産卵数が多いハダニの系統と、どの植物でもだめな系統があるためだった。以上から、少なくともナミハダニでは異なる植物への適応のレベルでは、トレードオフが存在しないことが示された。またその一方で、ナミハダニには植物全般に対する産卵数の多さに変異があり、それが他の適応形質とトレードオフ関係にあって、食性幅を制約する可能性が示唆されたので、それを検証することが次なる課題である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Shuichi Yano: "Factors determining the host plant range of the phytophagous mite,Tetranychus urticae(Acari:Tetranychidae):a method for quantifying host plant acceptance" Experimental & Applied Acarology. 22. 595-601 (1998)

  • [文献書誌] 矢野 修一: "ナミハダニの食性幅と生活史戦略" 南窓. 50. 11-14 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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