緑肥の土壌中における窒素プールを解明するために、不耕起水田土壌に3種類の緑肥(ヘアリーベッチ、白クローバー、レンゲ)を栽培し、緑肥を草生マルチとして利用するとともに、緑肥由来窒素の土壌中における動態の解析を行った。窒素固定量はレンゲ<白クローバー<ヘアリーベッチの順に高くなった。レンゲは地上部、地下部とも分解が速く、移植4週間後にはクローバー区のアンモニア態窒素は対照区と同等程度に減少した。白クローバーは地上部はレンゲ同様、早期に分解されたが、地下部の分解は遅く、移植後10週目でも土壌中のアンモニア態窒素濃度は高く推移した。ヘアリーベッチは地上部、地下部ともバイオマス量が多くなおかつ分解が遅いため、栽培全期間にわたってアンモニア態窒素濃度が高く推移した。また収穫時期においても残渣が確認された。今年度は重窒素でラベルされた肥料を用いて緑肥作物(ヘアリーベッチ、レンゲ、クローバー)の栽培を行い、重窒素ラベルした緑肥材料を作成しているところであり、次年度に土壌由来および緑肥由来窒素の無機化、水稲吸収、脱窒量の経時的変化の測定を行う予定である。土壌有機物の窒素無機化過程の最終段階である脱アミノ反応を解明するため、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、アラニンなどに対するアミノ酸デアミナーゼ活性測定法の確立を行った。既存のアミダーゼ活性測定法では、基質としてホルムアミドを用いるがアンモニア定量を行う際に水蒸気蒸留によって基質が分解し、正確な測定が行えないことが判明した。さらにアミノ糖を基質とした場合でも同様な問題が生じるため、次年度に定量法の改良を行う。
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