研究概要 |
熱帯産マメ科植物シカクマメの種子および塊根に多量に蓄積するKunitz型キモトリプシンインヒビター(WCI)の転写レベルにおける発現調節機構を解析するために,WCI遺伝子プロモーターに結合するタンパク質cDNAのクローニングを酵母 One-Hybridシステムを用いて行った。シカクマメの成熟中期種子由来のcDNAライブラリーより,2.0×10^7個のファージをスクリーニングした結果,レポーター遺伝子の高レベルの発現を誘導するクローンを複数個得た。これらクローンの塩基配列を解析したところ,相同性の高い4種のcDNA由来であった。これらcDNAがコードするアミノ酸配列を用いてデータベースを検索した結果,低いながらも動物由来のホメオドメインと相同性を示すことが明らかとなった。我々はこの4種のcDNAがコードするタンパク質をwinged bean homeodomain protcin(WBHD)2a,2b,2c,2dと命名した0しかしながら,植物由来のホメオドメインとは相同性をほとんど示さないことから,WBHD2は植物における新規のホメオドメインタンパク質であると考えられた。WBHD2a〜2dの各遺伝子の発現パターンを解析した結果,いずれのクローンも種子と花芽において強く発現していたが,種子の成熟段階における発現パターンはお互いに異なっていた。アラビドプシスのゲノムプロジェクトにより明らかになった塩基配列の解析から,アラビドプシスにはWBHD2と高い相同性を示す遺伝子が少なくとも2種類存在していた。次年度はこれら遺伝子が破壊されたアラビドプシス変異株を取得し,WBHD2タンパク質の植物における機能解析を行っていく。
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