研究課題
申請者は現在までに、Two-Hybrid法を用いて酵母Saccharomyces cerevisiaeにおいて栄養源のシグナル伝達に関与していると考えられている3量体GTP結合タンパク質αサブユニットであるGpa2タンパク質と相互作用するタンパク質遺伝子のスクリーニングを行い、膜タンパク質をコードしていると考えられる遺伝子GPR1(G-protein coupled receptor)をクローニングした。GPR1遺伝子は961アミノ酸を持つ7回膜貫通型タンパク質をコードしており、典型的なGTP結合タンパク質とカップリングする受容体タンパク質であると考えられた。本年度においては、Gpr1pの機能解析を目的として実験を行った。出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeでは、グルコース飢餓状態におかれた細胞にグルコースを添加すると、一過的に細胞内cAMPレベルが上昇しおよそ1分にピークが認められることが知られている。そこで、野性株およびGPR1遺伝子破壊株について、グルコース添加に対するcAMPのレスポンスを調べた。また、グルコース以外の発酵性炭素源であるフルクトースやマンノースついても同様のレスポンスが知られていることからそれらについても野性株およびGPR1遺伝子破壊株におけるcAMPレベルの変化を調べた。その結果、GPR1遺伝子破壊株においては、グルコース、及び他の発酵性炭素源の添加による細胞内cAMPレべルの一過的な上昇は、全く認められなかった。このことから、Gpr1タンパク質は、グルコース依存的にcAMPレベルを調節するレセプターであることが考えられた。以上の結果、本年度における研究計画は、すべて達成された。
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