硫酸還元菌由来のフラボドキシン及びFMN結合タンパク質について、遺伝子工学・タンパク質工学などの手法を用いて研究した。まず、ブラボドキシンについては、Desulfovibrio vulgaris(Miyazaki F)株から、その遺伝子をクローニングし、その塩基配列を決定した。塩基配列の解析により、この株由来のフラボドキシンのアミノ酸配列を初めて決定した。また、この遺伝子を大腸菌を用いた発現系により発現させた。発現させた組換え体フラボドキシンが、天然のものと同様の構造を持っていることを確認した。また、その物理化学的な性質から、その特徴付けを行った。また、変異型フラボドキシンを遺伝子工学的に作成し、その性質を調べた結果、フラボドキシン分子の表面に存在する負電荷を持ったアミノ酸が酸化還元電位などに与える効果が、一般的ではないことを示した。一方、FMN結合タンパク質については、その結晶構造を解析するため、結晶化と立体構造解析を行った。いくつかの結晶化条件を検討の後、構造解析に適した結晶化系を見いだした。得られた結晶の構造解析の結果、ユニットセル当たり2分子となっており、また、ペプチド鎖同士が相互作用をしている事を示した。さらに詳細な構造解析を行ったところ、2量体を形成する事によってFMNとの結合も強めている事を示した。すなわち、NMRによって決定したモノマー分子としての構造解析結果からは見いだせなかった新たな相互作用を見い出し、その相互作用により、FMNが強く結合を示していることがわかった。
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