研究概要 |
脳・神経組織の形態形成に必須であると推定される非還元末端にN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)を有する糖鎖の生物学的意義を解明するために、その糖鎖を認識する蛋白質の存在を明らかにしその分子の同定を行うことを目的として研究を行った. マウス脳の細胞質画分及び膜画分を用いて種々のN型糖鎖に結合する蛋白質の有無を検索した結果、数種類の結合蛋白質の存在が確認された。これらの中で、特異的に単糖やオリゴ糖等で結合阻害が見られるもの、固定化した糖鎖から特異的な糖で溶出できるものという観点から解析を重ねた。その結果、3本鎖のN型糖鎖を多く有するウシ胎児血清蛋白質(フェチュイン)をシアリダーゼ、βガラクトシダーゼ処理することにより非還元末端をGlcNAcにしたものを固定化した担体を用いて、成体マウス脳の細胞質画分よりGlcNAcのオリゴ糖であるキトオリゴ混合物で特異的に溶出できる蛋白質を2種類(p45,p26)見いだした。これらは、高濃度の塩やキレート剤では溶出されないことから、今まで報告のあるレクチン蛋白質とは性質の異なるものであると考えられる。そこで、これらの蛋白質の大量精製を行い、プロテアーゼ消化物をHPLC精製し、現在アミノ酸配列の解析を行っているところである。今後、これらの情報を元に遺伝子のクローニング、蛋白質の糖鎖結合部位の特定等の解析を進めていく予定である。
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