前年度ヒラメからクローニングした三種のマトリックスメタロプロテアーゼ(jfMMP2、jfMMP9、jfMMP13)のCDNAをほ乳類培養細胞株であるCOS7に導入し、大量生産させヒラメ筋肉から調製したTypeIおよびTypeVコラーゲンに対するコラーゲナーゼ活性を検討した。その結果、いずれのMMPも顕著なコラーゲン分解活性を示さなかった。魚肉の死後なんか現象には、コラーゲンのテロペプチドの分解が関与しているとの報告があるため、上記MMPの同活性を検討したところ、jfMMP9にTypeIのテロペプチドを分解する活性が示唆された。 上述の方法により大量生産したヒラメMMPをヒラメ筋肉に抽入することにより、肉の軟化現象促進効果を検討しようとしたが、この方法で産生されるMMP量では、本実験を遂行するには不十分であることが判明し、現在、より大量に生産させる方法を検討中である。 MMPの自己活性化を検討した結果、jfMMP13においては、4℃で放置することにより、自己活性化がおこることが示唆された。jfMMP2およびjfMMP9については、同方法による活性化は、観察されなかった。このことから、各種ヒラメMMPの活性化機構は異なることが、予想され、jfMMP2およびjfMMP9には、なんらかの他の因子が必要であると考えられた。そこで、この因子を検索するために、両MMPのcDNA配列から、活性化のために切断される部位を予想し、その配列を用いた合成基質の作成を試みた。
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