1.全般として、中国産野菜の開発輸入に関する企業、農業生産者の調査を進めた結果、日本の購買力が減少しているなかにおいても、日中間の戦略提携によって海外直接投資が伴わずとも、日本企業が生産段階に深く関わる開発輸入が進められ、中国産野菜の品目的多様化と高品質化が進展していることを明らかにした。 2.従来、海外直接投資に研究対象が集中し、現地に合弁企業などが存在しないケースが研究の対象から外れていた。そのため、野菜においては加工野菜の合弁企業中心の既存研究しかなかった。本研究が生鮮野菜に関して日中企業間の関係を戦略提携の観点から示したことで、長期的な中国産野菜輸入が日本の不景気の影響で競争力を失ったままになるのではなく、より安い野菜の供給源として中国が商社に選択されることと、土もの野菜に偏った品目構成から脱却しつつあることが示された。そのため、本研究は日本の技術移転による先進国産輸入野菜に匹敵する中国産野菜の出現を示すものとなった。 3.中国産野菜は国産との品質的格差から棲み分けが可能だと見られていたが、輸入に引っ張られる形で低価格化が避けられずにいる。産地では他品目へ転換せざるをえなかったが、中国が土もの野菜やきのこ類の一部に低品質な野菜を供給すると限られなくなった以上、ただ中国が作らないものをつくるという考え方では対応が難しくなっている。つまり、生産段階での製品差別化や商品の多様化だけでは対応できなくなったことが明らかとなり、結局、日本農業の生産性の向上、マーケティング・チャンネルを再編し輸入野菜なみに量販店や外食産業の硬直的な需要に対応する能力がもとめられている。
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