YSI社の多項目水質計を用い、ダム上流域の汚濁負荷流出の連続測定を試みた.しかし、洪水時には流れが速いため、測定機器を流水中に固定しておくのは困難と判断し、水質計は従来測定を行ってきた地点近傍にある水位計立杭に設置した.この立杭は、底部の通水口を通じて河川と連結しており、直径も1mと大きく、水質計が水位計の邪魔にならず好都合である.9月から10月にかけての台風出水時をはさんで連続測定を行った.出水時には採水ビンによる採水測定もあわせて行い、比較した. 台風7号時の出水では1週間以内に2度の大きる先行降雨があったことから、流量とSSの間には明瞭なヒステリシスは見られず、L-Q式の適用可能と考えられる.一方、水質計の濁度は流量との相関がそれほど高くなく、絶対値も小さい.さらに、SSと濁度の相関も低かった. これは河川と水位計立杭間の水交換がうまくいっていないのではと考え、立杭にボックスモデルの適用を試みた.9月21日2時から22日10時までの期間について計算開始時は河川と立杭の濃度が等しいと仮定し、河川水のSS濃度は流量からL-Q式を用いて算定した.その結果、計算値のグラフは実測値と同様な形状を示し、ボックスモデルの適用が定性的に正しいことが示せた.
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