研究概要 |
1, 現地調査を行い、既設のバースクリーン複合型渓流取水工が、高水時においても十分な取水機能を発揮していることを確かめた。 2, バースクリーン複合型渓流取水工はバースクリーンの取付角度が大きいので、バーの上端から下端にわたって水が均等に流下しないので、バーの上端から一定の長さは、流下水脈がバーの裏側まで達しない。したがって、この部分を遮蔽することは所期の取水量の確保に影響を与えないと考えられ、また、遮蔽することにより、バーの強度を高めることができる。バースクリーン取付角度θ=50°および60°の場合について、水理模型実験を行ったところ、いずれの場合も流下水脈の到達位置より算出した長さを遮蔽しても取水量には、全く影響の生じない。 3, デフレクターのはい上がり高さは、土地改良事業計画設計基準によると年に5〜6回程度生じる洪水流量に基づいて決めるとされているが、この流量を決定することは難しいことが多い。したがって、計画取水量に基づいて決定する方法を試みた。過去の研究から、全量取水状態では浮遊流下物による目詰まりが生じやすいので、計画取水量の2倍を基準と決める。このときのはい上がり高さを、計画取水量の3倍、4倍としたときの高さと比較しても、デフレクターの構造物としての大きさを考慮すると、ほとんど違わない値となる。デフレクターのはい上がり高さは、土砂礫の掃流および下流への河川流量の確保の面から低い方が好ましいので、設計に当たっては、計画取水量の2倍をデフレクターの設計流量とすればよいことの知見を得た。
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