研究概要 |
画像処理を用いたイチゴ選別システムにおいて「判別精度を実用に供しうる程度まで高めること」「イチゴ果実の方向を自動的に決定する手法を確立すること」「多品種に対応できるアルゴリズムを確立すること」を目的として,今年度は以下の事項について研究した。 まず,イチゴの選別に有効な幾何学的特徴パラメータの抽出を行った。これまでは,試行錯誤で抽出した幾何学的特徴パラメータを用いていたが,それは最適なパラメータであるとは言いがたい。そこで,一般に形状解析で有効とされているパラメータを多数供試して,それを比較・検討した。その結果,イチゴの形状を良く表現できる,すなわちイチゴの選別に有効だと考えられる幾何学的特徴パラメータは,それぞれの品種によって異なることが分かった。また,一つのパラメータだけで選別を行うのは困難だと考えられ,適当な複数のパラメータを組み合わせて選別アルゴリズムを構築しなければならないと考えられた。 次に,イチゴ果実の方向決定アルゴリズムの構築を行った。何らかの方法で果実の方向を決定できれば,高い精度で選別できることがこれまでに明らかになっている。しかし現在のところ,それを自動的に行えるアルゴリズムは確立されていなのが現状である。そこでここでは,適当な三つの手法について,その精度について比較・検討した。その結果,カラー画像処理を使って果実とがく片の部分のそれぞれの重心位置を求めて,それらを通る直線の傾きから果実の方向の決定するという手法が最も良いことが分かった。また,その方向決定精度は,選別システムを構築するのに充分に対応できると考えられた。
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