Lactobacillus delbrueckii subsp.bulgaricus OLL1073R-1の生産する菌体外多糖のマクロファージの機能性に対する影響を調べた。 L.bulgaricus OLL1073R-1を脱脂乳培地で培養し、エタノール沈搬やイオン交換クロマトグラフィーなどを組み合わせることにより、菌体外中性多糖(NPS)およびリン酸化多糖(APS)を得た。これらの多糖をマウス腹腔内に投与すると、腹腔マクロファージが誘導され、その総数はPBSを注入したときの3倍以上であった。ついで、マクロファージの貪食能に及ぼす影響を調べたところ、APSではin vivoおよびin vitroのいずれの系においても増強が認められたが、NPSでは認められなかった。チオグリコレートで誘導したマクロファージの腫瘍細胞(Salcoma-180)に対する細胞障害活性では、APSの濃度が10〜100μg/mlで著しく増強されたが、NPSではほとんど増強されなかった。また、APSに対してトリフルオロ酢酸による部分酸加水分解やフッ化水素酸による脱リン酸化といった化学処理を行い、同様の試験を行ったところ、細胞障害活性は低下した。 さらに、Cell lineマクロファージ株J774.1を用い、NPSおよびAPSの刺激により産出されるサイトカインへの影響を、RT-PCR法により検討した。その結果、12時間後のインターロイキンlαの産生において、APSによりNPSの3倍以上増強されることが判明した。 これらのことから、L.bulgaricus OLL1073R-1の生産するAPSでは、その高次構造やリン酸基が、腹腔およびマクロファージ株化細胞の機能発現に対して重要な役割を果たしているものと考えられた。
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