イタリアンライグラスを用い、天日乾草、無予乾サイレージおよび予乾サイレージを調製するとともに、無予乾材料にギ酸、セルラーゼおよびクロラムフェニコールを添加して、牧草中および微生物由来の細胞壁分解酵素を両方あるいは一方だけ失活させたサイレージを調製した。これらの試料を凍結乾燥して分析に供し、可溶性糖類および細胞壁成分をHPLCおよび比色法により測定した。また、乾燥試料をin vitroで培養してルーメン内微生物の細胞壁分解酵素活性(Avicelase、XylanaseおよびCarboxymethylcellualase)を測定し、細胞壁構成糖類の変化と消化性変動の関連について検討した。得られた結果は以下のとおりである。 サイレージ発酵は予乾、ギ酸添加およびクロラムフェニコール添加によって抑制され、セルラーゼの使用によって著しく促進された。これら発酵の強弱によって牧草細胞壁の総量は変動し、発酵が抑制されたものでは細胞壁成分の残存量が多かった。しかし、特異的に変化した構成糖類はなくサイレージ発酵に伴う細胞壁の分解は選択的ではないことが示唆された。また、n vitro培養時の細胞壁分解酵素活性は細胞壁成分の残存量が多いものほど高い傾向にあり、サイレージ貯蔵に伴う細胞壁成分の減少は、残存部分のエネルギー価を低下させることが示された。
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