二年間にわたる本研究の前半が終了した時点で、プロラクチンがラットの精巣において、プロタミン2mRNAを誘導すること、そしてこの誘導が、LH非依存的経路で起こることを検証した。そして、学術雑誌へ投稿し、現在印刷中である。さらに、subtractive DNA hybridizationの過程で、熱ショックタンパク質関連ペプチドcDNA(SKD3 cDNA)のクローニングおよび新規転写調節因子と考えられる新規zinc finger protein cDNA断片のクローニングに成功した。両者とも未だプロラクチンによる誘導の有無を検討していないが、これまでに、両者とも精巣における発現パターンは報告されていないため、まず前者についてはcDNAの全長を決定し、さらに精巣における発現パターンをin situ hybridizationおよびnorthern blottingにより検討した。熱ショックタンパク質は、特に哺乳類の精巣において重要な働きを持つことが示唆されている。本研究で新たな関連ペプチドを同定したことは、精子発生研究に大きく貢献するものと思われ、現在投稿の最終段階に入っている。後者は、既知のタンパク質とは相同性が非常に低く、新規の転写調節因子であろうという予測を立てた。減数分裂過程での転写調節因子の機能が、下等真核生物で数多く報告されているが、脊椎動物の減数分裂過程での機能はほとんどわかっておらず、本研究の今後の展開が期待される。
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