研究概要 |
概日リズムを刻む体内時計は地球上のあらゆる生物に備わっている。哺乳類においては視床下部の視交叉上核が振動体としてからだのリズムを制御しているが、哺乳類以外の脊椎動物では眼、松果体、視床下部に振動体が存在する。からだのリズム制御における三つの振動体の重要性は種によって異なる。そこで本研究ではウズラを用いて時計遺伝子を同定し、鳥類の概日時計の制御機構を解明することを目的とした。ウズラにおいては三つの振動体のなかで眼が重要であることが報告させていることから、眼を用いて時計遺伝子ClockとPerをクローニングし、時計遺伝子の遺伝子発現の制御について検討した。 1. ウズラ時計遺伝子Clock 及びPerのcDNAクローニング マウスにおいてクローニングされている時計遺伝子のClock及びPerの塩基配列をもとにdegenerate primerを作成し、ウズラの眼から得られたcDNAを使ってClockとPer遺伝子のcDNAクローニングを行なった。Clock,Per遺伝子ともにdegenerate PCRにより部分配列が得られたので、その配列をもとにRACE法によりcDNA全長のクローニングを試みた。現在までにClockの全長の配列を決定することに成功した。Perについても部分配列を決定し、アミノ酸配列から分子進化系統樹を作成している。 2. Clock及びPerの遺伝子発現 明暗及び恒暗条件下で4時間ごとに眼を摘出し、1で作成したプローブを用いてノーザンブロット解析を行いClock及びPerの遺伝子発現について検討した。Clockの遺伝子発現は昼夜で変動が見られたが、恒暗条件下では有意な羞は見られなかった。一方、Perの遺伝子発現は明暗、恒暗の両方においてリズム性が確認された。現在松果体についてもin situ hybridizationを用いて遺伝子発現を検討中である。
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