新しい細胞生物学的な手法を用いて若齢期のウマの関節軟骨細胞の各種刺激に対する反応性を検討することを本実験の目的としている。本研究に用いる培養法は、これまでの単層培養、ゼラチンなどを担体とした立体培養、あるいは軟骨をそのまま培養するexplant培養などでは理解できなかった基質合成能をも検索できることが最近示されたpellet培養法である。 平成10年度の当初計画は、1)ウマ関節軟骨由来ケラタン硫酸に対するモノクローナル抗体の開発および2)ウマ関節軟骨細胞のpellet培養の最適化であった。 1) ウマ関節軟骨由来ケラタン硫酸に対するモノクローナル抗体の作出 関節軟骨からの塩化セシウムを用いた比重遠心、透析および超遠心分離により軟骨プロテオグリカンモノマーを精製し、それをコンドロイチナーゼABCで消化したものをモノクローナル抗体の作成した。作出したモノクローナル抗体のウマ関節軟骨由来ケラタン硫酸に対する特異性を確認した。さらに、作出したモノクローナル抗体を用いたウマ関節由来ケラタン硫酸の定量を行うためのcompetitive ELISAを確立した。 2) ウマ関節軟骨細胞のpellet培養の最適化 ウマ関節からの軟骨の採取し、トリプシン、ケラタナーゼを用いた酵素処理により軟骨細胞を分離した。その細胞のphenotypeを維持するためのHigh-density pellet culture法の最適化を行った。 決定した条件におけるpelletの性状を、形態的、および生化学的に明らかにする。(この観察には、本補助費にて導入した高感度の培養細胞用顕微鏡システムを用いた。) 以上の結果から、pellet培養の優れたPhenotypic stability維持能が確認された。
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