新しい細胞生物学的な手法を用いて若齢期のウマの関節軟骨細胞の各種刺激に対する反応性を検討することを本実験の目的としている。本研究に用いる培養法は、これまでの単層培養、ゼラチンなどを担体とした立体培養、あるいは軟骨をそのまま培養するexplant培養などでは理解できなかった基質合成能をも検索できることが最近示されたpellet培養法である。 平成11年度の当初計画は、1.成長因子および異化誘導サイトカインによるPellet培養ウマ軟骨細胞活性の変動評価することであった。 1)成長因子によるPellet培養ウマ軟骨細胞活性の変動:IGF-IおよびTGF-β1によってPellet培養ウマ軟骨細胞を刺激し、その基質生成能を、培養上清およびPellet中のプロテオグリカン量をディメチルメチレンブルー色素結合測定法およびケラタン硫酸量の測定によって解析した。IGF-Iによる軟骨基質合成活性、TGF-β1による軟骨リモデリング活性を明確に表現することができた。 2)異化誘導サイトカインによるPellet培養ウマ軟骨細胞活性の変動 : IL-1αによってPellet培養ウマ軟骨細胞を刺激し、その基質生成能を培養上清およびPellet中のプロテオグリカン量をディメチルメチレンブルー色素結合測定法およびケラタン硫酸量の測定によって解析した。IL-1αによる軟骨基質分解活性を明確に表現することができた。 以上の結果から、優れたPhenotypic stability維持能をもつPellet培養により、生体内の軟骨と同様の活性をIn vitroで再現し、ウマの軟骨基質代謝分析に有効な軟骨モデルであることが確認された。
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