研究概要 |
本年度は、胸腺Mφのin vivoでの貪食動態に注目し、ステロイド投与によって胸腺リンパ球の細胞死を誘導した条件下のMφを各種モノクローナル抗体を用いて免疫組織学的に解析した。フェノタイプ・形態から見て胸腺Mφには大別して3種の亜群が存在する。大型で細胞突起に富みMac-2,F4/80,CD32/16を共に発現しているもの(Dendritic M φ)、比較的小型で細胞突起に乏しく、Mac-2ポジティブ、F4/80,CD32/16ネガティブであるもの(Round M φ)、及び少数だが被膜直下にあって被膜下に細胞突起を伸ばすF4/80,CD32/16ポジティブ、Mac-2ネガティブであるもの(Flat M φ)、である。こうしたフェノタイプ・形態はステロイド投与後も変化せず、リンパ球の細胞死が誘導されるのに伴いMφによる貪食が促進された。この条件において、3種のMφ亜群のうち貪食に関与するのはDendritic M φのみであり、Round M φによる貪食は観察されなかった。このRound M φについて、同様のMφマーカーを用いた免疫電顕によって超微形態的特徴を解析すると、長径7〜8μ、短径5〜6μと比較的小型の卵円形細胞で、細胞突起に乏しいが希に1〜2本の太い突起が観察された。細胞に占める核の割合が大きく、細胞質は少ないが、数個のミトコンドリア及び小型の空胞が特徴的に観察された。核は一定量のheterochromatinを含有しており、卵円形だがindentationが見られることがある。また、フェノタイプはMac-2、I-Aポジティブ、F4/80ネガティブであることが確認された。この細胞は皮髄境界部から髄質にかけて分布するが、主に血管に近接して観察された。こうした亜群間及び他の抗原提示細胞との関連についてさらに解析を進めたい。
|