研究概要 |
pHによりグルコーストランスポーター4型(GLUT4)を持つ細胞内小胞をキャラクタライズするため、3T3-L1脂肪細胞を10μM DAMP(3-(2,4-dinitroanilino)-3'-amino-N-methyldipropylamine)で37℃、30分間処理した後、3%パラホルムアルデヒドにより室温で10時間固定し、凍結準超薄切片を作成して二重蛍光抗体法により観察、解析した。理論上、DAMPのシグナルが強い部分はpHが低いと予想されたが、実際この部分はリソゾームのマーカーであるカテプシンDの分布とよく一致していた。GLUT4のシグナルは一部DAMPのシグナルと重なっていた。現在、より詳細な解析を試みている段階である。また同時に、電子顕微鏡レベルでの観察に適した試料の作成法も検討した。アクリル系親水性樹脂のLR-WhiteやLowicrylK3Mでは細胞膜が不明瞭であり、シグナルも弱かったが、ダイヤモンドナイフにを用いて作成した凍結超薄切では膜のコントラストがよく、シグナルも比較的強かった。今後は、凍結超薄切を用いて微細構造の観察を行う。細胞内小胞のマーカーを検索するため、3T3-L1細胞、および褐色脂肪細胞の凍結切片に対して、トランスフェリンレセプター、インスリンレセプター(αサプユニットとβサブユニット)、レプチン、アシギオテンシンIIの抗体を用いて蛍光抗体染色を行ったが、試みたいずれの固定液(過ヨウ素酸・リジン・パラホルムアルデヒド固定液、Zamboni、3%パラホルムアルデヒド、3%パラホルムアルデヒド/0.1%グルタールアルデヒド等)でもポジティブなシグナルは得られなかった。
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