研究概要 |
造血期から生後期にかけての類洞内皮表面形態の変化 胎生期から生後早期の類洞内皮は一般に有窓性である.類洞内皮に認められる小孔は,そのサイズによって3種類に区別することができる.すなわち直径250nm以下のSmall-sized pore(S-pore),直径0.5〜2.5μmのMedium-sized pore(M-pore),そして直径4μm以上のLarge-sized pore(L-pore)である.胎生11日の類洞内皮は基本的に無窓性であるが,細胞辺縁部にM-poreおよび隣接する内皮細胞間に狭い細胞間隙がわずかに認められる.この他に内皮表面に短い指状突起やヒダが多数存在する.造血が盛んな胎生13〜15日に類洞内皮は有窓性となり,M-poreならびにL-poreが多数出現する.L-poreは肝細胞間で成熟した赤血球の類洞腔への通路となる.さらにこの時期,類洞内皮が20-30μmにわたって欠損し,肝細胞索内で分化増殖していた赤芽球が大量に類洞腔へ移動し,類洞腔内においても造血が進行するようになる.生後0日になると,M-poreならびにL-poreは減少し,かわりにS-poreが非常によく発達する.0日以降,新生マウス肝臓ではS-poreが著しく増加し,成体肝の類洞内皮の形態を呈するようになる. 以上のことから,類洞内皮表面形態は肝臓造血の発達と密接に関連し,その構造を変化させていることが示唆される.
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