本年度は、ブタ気管平滑筋からInvitrogen社Micro-Fast Track kitを用いてpoly(A)^+RNAを採取精製し、(1)これをアフリカツメガエルの卵母細胞に注入して発現したチャンネルが、アセチルコリン活性化非選択的カタイオンチャンネル(I_<ns>-ACh)であることを確認する。(2)poly(A)^+RNAを密度勾配遠心法で分画し、I_<ns>-AChが最大となる分画を得る。以上2点を中心に研究を進めた。これに先だって、同時発現させるm^2ムスカリン様受容体と、それに共役するG蛋白質のG_<i1>、G_<i2>、G_<i3>αサブユニット、およびβ1、γ1、γ2サブユニットの全てのmRNAを合成した。膜電流の測定はI_<ns>-AChの温度感受性が高いため、顕微鏡ステージと灌流液の温度コントローラ(Dagan社HE-101D、102)を購入し、温度固定下に行った。実験温度は研究開始当初、生筋と同じ25℃としたが、ほとんどI_<ns>-AChを観察することができなかった。そこで37℃としたところ、初めて測定可能となった。こうして得られた電流は生筋で観察されるのと同様のキネティクス、Ca^<2+>感受性、チロシンキナーゼ依存性、百日咳毒素感受性を示すI_<ns>-AChであることが確かめられた。 現在、得られたRNA分画からcDNAライブラリーを製作中であり、今後I_<ns>-AChの有無を指標にライブラリーのスクリーニングを行うことにより、本チャンネルのクローニングを達成する予定である。
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