平成10年度の研究課題であった (1) 等張性収縮実験法を用いた尿道平滑筋の高い筋緊張の維持機構の解明、また種々のカリウム開口薬による尿道平滑筋弛緩機序のK_d値を求め他の平滑筋での結果と比較しカリウム開口薬の臓器特異性を検討、(2)セルアタッチ法による単一チャネル電流記録法によりグリベンクラミド感受性カリウムチャネルの開口、閉口時間を求め電位依存性及び時間依存性活性化等の有無を含め基本的チャネル開口機構の解析を行い、我々はその結果をEuropean Journal of Pharmacology(1999)に原著論文として発表した。すなわち尿道平滑筋においてカリウム開口薬投与によりグリベンクラミド感受性カリウムチャネルが、選択的に電位非依存性及び時間非依存的に活性化されることで持続した強力な弛緩反応が生じることを報告した。また一方細胞内抽出物質を透析、ゲルろ過や変性剤による変性などの方法によりグリベンクラミド感受性カリウムチャネルの内因性制御物質を迅速かつ簡便で感度も高く再現性のあるインサイドアウト法を用いて現在同定中である。また一方セルアタッチ法による単一チャネル記録時にバッチ膜を細胞から剥離したインサイドアウトの状態にすると、グリベンクラミド感受性カリウムチャネルは直ちに消失する(ランダウン現象)ことが知られていたが、Trypsin(1mg/ml)処理によりチャネル活性が再びあらわれることを平滑筋細胞で世界で初めて発見しそのTrypsinによるチャネル誘発機序も合わせて検討中である。また我々が、ここ数年発表した原著論文を中心に平滑筋のグリベンクラミド感受性カリウムチャネルの制御機構について総説を発表した(Therapeutic Tesearch、1999、in press)。
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