本研究の研究課題であった (1)等張性収縮実験法を用いた尿道平滑筋の高い筋緊張の維持機構の解明、また種々のカリウム開口薬による尿道平滑筋弛緩機序のKd値を求め他の平滑筋での結果と比較しカリウム開口薬の臓器特異性を検討、 (2)セルアタッチ法による単一チャネル電流記録法によりグリベンクラミド感受性カリウムチャネルの開口、閉口時間を求め電位依存性及び時間依存性活性化等の有無を含め基本的チャネル開口機構の解析、を行い我々はその結果をEuropean Journal of Pharmacology(1999)及びJournal of Smooth Muscle Research(1999)に原著論文として発表した。すなわち尿道平滑筋においてカリウム開口薬投与によりグリベンクラミド感受性カリウムチャネルが、選択的に電位非依存性及び時間非依存的に活性化されることで持続した強力な弛緩反応が生じることを明らかにしその種々カリウム開口薬の薬物強度の順序はLevcromakalim>pinacidil>Diazoxide>Minoxidilであり今まで静止時の筋緊張に及ぼすカリウム開口薬の効果に関する報告は無く極めて重要な報告と考えられた。さらに我々がここ数年発表した原著論文を中心に平滑筋のグリベンクラミド感受性カリウムチャネルの制御機構について総説を発表し(Therapeutic Research、1999)そのカリウムチャネルの電気生理学及び薬理学特性を明らかにすることができ初期の研究目的は達成できたものと考えられる。
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