研究概要 |
容量性Ca^<2+>流入(Capacitative Ca^<2+>influx;CCI)機構は細胞内Ca^<2+>ストアのCa^<2+>が減少または枯渇した場合に起こる細胞外からのCa^<2+>流入であり,細胞膜の受容体刺激やCa^<2+>-ATPase阻害剤などにより引き起こされることが多くの細胞で観察されている.しかしながら,この機構の本質については不明な点が多く残されている.最近の研究からtransient receptor potential(trp)タンパク質がCCIチャネルであることが示唆されている. 本研究ではCCI機構を解明する糸口としてtrpタンパク質に対する特異的抗体を作製し,哺乳類細胞におけるtrpタンパク質の発現とその基本的な性質を明らかにすることを目的とした.現在までに哺乳類では6種類のtrpタンパク質アイソフォームのcDNAがクローニングされている.そこでマウスtrpの予想されるアミノ酸配列のうち全てのアイソフォームで高く保存されている部分およびそれぞれのアイソフォームで特異的な部分についてそれぞれ15-20アミノ酸のペプチドを合成し,これを抗原としてウサギに免疫した.今のところtrp1,trp3およびtrp6の特異的ペプチドに対する抗血清がそれぞれ得られている.得られた抗血清は抗原ペプチドのカラムによりアフィニティー精製した.種々の組織におけるtrpアイソフォームの発現を知るため,これらの精製抗体を用いてウエスタンブロットを試みた.mRNAの発現と同様に各アイソフォームで組織における発現パターンが異なっていることを示唆する結果が得られている.
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