NF―E2結合配列はβグロビン遺伝子やIgH遺伝子などのLCR(Locus control region)中に存在していることから、NF―E2関連因子がLCRの特徴の一つであるクロマチン構造の制御をもたらしているとも考えられる。そこで本研究では、NF-E2関連因子群とその結合因子MAZR(MAZ-related factor)の機能解析を通じ、造血細胞分化とクロマチン構造制御機構の解明を目的とし、以下のことを明らかにした。 DrosophilaのGAGAやmod(mdg4)をはじめとするBTBタンパク質はクロマチンやDNAの構造を制御していることが知られており、Bach因子にもそのような分子制御機構が存在する可能性が高い。そこでBach2のBTBドメインに結合する因子を検索し、MAZR(MAZ-related factor)を単離した(A.Kobayashi etal.(2000)Mol.Cell.Biol.)。MAZRはBTBドメインを有するZn finger型転写因子であり、発現様式と生化学的データから判断しBach因子と協調的に造血発生過程において機能していることが予想される。またMAZRはc-myc遺伝子の発現も顕著に活性化するが、GAL4 DBD融合系を用いた解析において分子内に典型的な転写活性化ドメインが見い出されなかった。すなわち、MAZRはGAGAのような構造転写因子(architectural transcription factor)として機能する可能性が示唆された。
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