本年度は、昨年度の実験結果に基づき以下の実験を行った。デジェネレートプライマーを用いたRT-PCRにより得られた独立した7個(SHR:高血圧自然発症ラット)および11個(WKY:正常血圧ラット)のcDNAクローンをシーケンスしたところ、SHAでは4個が、WKYでは5個がオープンリーディングとなっていた。その中には、すでにcDNAクローニングされているリゾホスファチジン酸受容体であるヒト由来EDG4ホモログと新規のcDNA(SH1)が含まれていた。EDG4ホモログについて5'ー及び3'ーRACE法によりcDNA全長をとり、核酸配列ならびに、アミノ酸配列を、SHRとWKYで比較したところ両者間で差はみられなかった。更に、SH1について同様に5'ー及び3'RACE法によりcDNA全長をとり、アミノ酸配列を調べたところ、7つの脂溶性の高い部位が存在し、LPA受容体と同様にGTP結合タンパクにカップルする受容体ファミリーに属していることが予想された。このSH1cDNA全長を哺乳類細胞での発現ベクター(pcDNA3)に挿入し、ヒト白血球由来細胞(Jurkat cell)において一過的に大量発現を行い、[^3H]LPAを用いて結合実験を行った結果、[^3H]LPAの特異的結合数がコントロール(pcDNA3のみ)に比べて顕著に増加していた。以上の結果からSH1は新規のLPA受容体である可能性が考えられた。
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