我々は間質性肺炎の病態として肺血管系の異常に着目し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて肺動脈のエラスチンの架橋アミノ酸に関してによる検討を加え、肺動脈では体循環系に比較してエラスチン含有が低いことが示唆された。また肺高血圧症患者におけるエラスチン架橋アミノ酸に対する検討から、肺高血圧症症例では架橋アミノ酸が減少していることが証明された。さらに抗デスモシン抗体を用いて形態学的にもエラスチン架橋アミノ酸に関して検討を加え、架橋アミノ酸の分布がどのようになっているかの検討を加えた。肺動脈において、弾性線維の架橋構造の変化と動脈の脆弱性との関連が示唆されたが、大動脈においても同様で、解離性大動脈瘤においてHPLCを用いた検討から、、弾性線維の架橋構造の減少が動脈の脆弱性につながる可能性が示唆された。また間質性肺炎と悪性高血圧症を併発した症例に関して、血管の異常という観点から検討を加えた。これまでの検討から、間質性肺炎と血管系の異常、および血管の脆弱性とエラスチン架橋構造の変化ということの関連性が示され、間質性肺炎において、弾性線維の架橋構造が何らかの関連性をもっている可能性が示唆された。
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