研究概要 |
昨年度CD44の全てのアイソフォームを認織するジゴキシゲニン標識リボプローブを用い,ホルマリン固定パラフィン切片に適用可能なin situ hybridization(ISH)のプロトコールを確立した。さらに,CD44変異体の発現に関与する8つのエクソンv3からvlOを5つのドメインに分けてそれぞれに特異的なジゴキシゲニン標識リボプローブを作製し,連結切片上でその特異性を確かめるとともに染色の至適条件を検討した。免疫染色とRT-PCRによって選択した陽性コントロールを用いて染色を試みたところ,現在までにエクソンv3およびv6-7に対する特異的染色が得られており,パラフィン切片への適用を進めている。一方,その他のエクソンに対するプローブでは間接法による染色の増強を含む様々な条件を試みても陽性所見は得られなかった。このことは,それぞれのエクソンの相対的な発現量の違いを示すものであると考えられた。今後Northern blotレベルでその他のエクソンの発現が検出できる検体を得て,発現レベルとlSH法の検出限界の関係について検討する必要がある。エクソンv6-7の発現は、癌の転移能獲得に重要な役割を果たすと考えられている。また、CD44蛋白は糖鎖修飾のため特にその変異体において免疫組織化学的検出が困難であるとの報告がある。したがって、このプローブは組繊レベルでのエクソンv6-7の発現を解析し,CD44蛋白の機能異常を検討する上で有用であると考える。
|