研究概要 |
本研究では、炎症領域におけるLC/DCの挙動及びマトリックス構築に重要なTGF-β1やBMP-1/PCP等の発現状況を検討する為にマウス耳に実験的炎症を生じさせ、経時的にLC/DCの移動ならびにTGF-β1やBMP-1/PCP等の発現をin situ法等を用いて検討する。始めにマウス耳にピクリン酸を用いて接触皮膚炎を生じさせ、経時的に耳を採取しそれぞれの切片を作成した。この際、5nmの切片を歩留まりよく得るために、パラフィン包埋後さらにクライオスタットを用いて切片を作成した。現在、これらを用いてinsituハイブリダイゼーションを行いつつある。 また予備的実験として、接触皮膚炎を生じた耳からRNAを調製しRT-PCRによってTGF-β1,Co11agentype I,BMP-1,MMP-9,E-cadherin,Integrin6及びβ-actinの発現を検討した。その結果、炎症誘導後24時間後ではMMP-9,E-cadherin,Integrin 6の発現量に変化はみられなかったが、Co11agentype Iの発現は低下したがMMP-9の発現は上昇しており、この時点ではマトリックスが分解される方向にあることが示唆された。 一方、このRT-PCRでは発現量の低さのためTGF-β1とBMP-1/PCPの発現は確認されなかったが、先に私がクローニングしたPCPE(BMP-1/PCPの活性を10倍促進する蛋白質)が炎症領域組織の再構築に重要だと考え、そのヒト及びマウスの全遺伝子構造を明らかにした。その結果、ヒトとマウス間ではそのエクソン-イントロン構造がよく保存されているが、ヒトPCPE遺伝子内及び近傍には多数のAlu配列があることが明らかになった。今後、プロモーターを含む発現コントロールエレメントの解析を進めたい。
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