研究概要 |
炎症を伴う免疫応答の場ではランゲルハンス細胞(LC)及び樹状細胞(DC)の移動・分化と細胞外マトリックス(ECM)の再構築が進んでいる。TGF-βは両現象に重要な因子であり、LC又はDCの動態とECM構築の間に、TGF-β及びそれを活性化するBMP-1を介した相関があると考え以下の実験を行った。 マウス耳に接触皮膚炎を誘導し、7日後迄のBMP-1,Type I Collagen(Col I),TGF-β,MMP-3,MMP-9,E-Cadherin(E-cad),BMP-1,Integrin-6(Int-6),及びCCR-6遺伝子の発現を検討した。その結果、誘導12〜36hr後にはBMP-1,Col Iなど発現が急激に低下した一方で、MMP-3,MMP-9の発現は上昇し、E-cad,Int-6,TGF-β,CCR-6などLCの皮膚への局在に働く遺伝子の発現は低下した。耳の肥厚は72hr後には治まったが、多くの遺伝子の発現は7日後に至っても誘導前のレベルに戻っていなかった。具体的には、Col I,TGF-βが誘導前の数倍発現しており、依然としてECMの再構築が進んでいることが示唆される。同時にE-Cad,Int-6,CCR-6の発現も誘導前の数倍のレベルにあった。この時期にBMP-1,TGF-β,Int-6,CCR-6が同時に強く発現していることから、新たなLCの出現が予想される。 一方、TGF-βを活性化するBMP-1、並びにそのファミリー(mTld及び新規ホモログTll-1、Tll-2)の酵素活性、発現分布等を比較した。また、BMP-1の活性を上げるヒト及びマウスPCPEの遺伝子構造を明らかにした。加えて、PCPEの分解産物がメタロプロテアーゼインヒビター活性を有することを明らかにした。
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