C57BL/6マウスにおいてT.Cruzi Tulahuen株(南米株)感染時のNKT細胞の動態を経時的に追跡したところ、原虫血症が爆発約に上昇する感染7日日〜14日日に一致して、肝脾のNK1.1^+ CD3^<intermediate>T(NKT)細胞が著明に減少することが見出された。また、この減少は感染30日目以降も続いていることが確認された。FACSを用いて細胞表面IL-2Rβ、NX1.1、CD3分子を染色したところ、未感染状態ではNKT細胞の大部分がIL-2Rβ^+CD3^<intermediate>T細胞に含有され、感染7日日〜14日日にこのIL-2Rβ^+CD3^<intermediate >T細胞上のNK1.1分子の発現が減少することが確認された。以上より、NKT細胞の減少は見かけ上のものであり、NK1.1分子のdown-modulationが起こっていることが判明した。 NK1.1分子のdown-modulationに関しては結核感染で同様の報告がある。結核感染では感染時に産生されるIL-12に依存した減少であった。今回のT.Cruzi感染系でもIL-12の持続的な産生が確認され、この持続的なIL-12の産生に依存してNK1.1分子のdown-modulationが起こることが判明した。また、NK1.1分子のdown-modulationはいくつかのstrainのT.Cruzi感染でも認められ、T.Cruzi感染で共通して認められる現象であることが示唆された。
|