コレラ菌のウサギ小腸上皮定着因子のひとつとして報告されているL-fucose sensitive hemmagglutininを、transposon(Tn5)を使った変異体で消失させ赤血球凝集能や定着能の消失を確認した。使用した株はVibrio cholerae 86B3で、L-fucose sensitive hemmagglutination(FSHA)陽性の株である。plasmid pCHR81に組み込まれているtransposon(Tn5)を定法により86B3の染色体DNA上にinsertさせFSHA消失変異体21株を得た。Gardel and Mekalanosにより、motBの変異により運動性を消失したコレラ菌は同時にFSHAも消失し培養細胞への定着能もコントロールと比較し低下していることが報告されている。今回得られたFSHA消失変異株は同時に運動性を消失しているものが13株あったが、21株中8株では運動性の低下はみられなかった。このことはこの8株ではmotB以外の部位にTn5挿入を起こしており、運動性とは独立したFSHA関連遺伝子上の変異を示唆している。これらの変異株の定着能を、培養細胞HEp-2 cellを使った定着率でコントロール86B3株の定着率と比較している段階である。同時に、運動性を保持しているFSHA消失変異株についてTn5の挿入部位を確認するためライブラリーを作製する準備をしている。
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