殺菌性ペプチドdefensinは、好中球の一次顆粒の主要構成成分で、殺菌活性をはじめとする様々な生理活性の報告があり、その生体内における役割が最近注目されている。defensinが、炎症局所の生体防御に果たす役割を明確にする目的で研究を進め、以下の新しい知見を得た。 1.ヒト単求由来細胞株THP-1のサイトカイン産生に対するdefensinの影響 ヒト末梢血好中球より精製したdefensinsを使用し、THP-1細胞のTNF-α産生に対するdefensinの直接の影響を検討した。defensinは10-100μg/mlで濃度依存的にTHP-1細胞のTNF-αの産生を誘導した。LPS(50ng/ml)とdefensinを同じに加えると、それらを単独で加えた時と比較して、defensin 1μg/ml、10μg/mlで増強効果がみられ、100μg/mlではLPS存在下でも明らかな増強はみられなかった。 3.Legionella 属菌に対するdefensinの抗菌活性の検討 (1)最小発育阻止濃度(minimal inhibitory concentration:MIC)の測定および(2)defensinと菌を混合培養し、経時的に生菌数を計数する方法(colony count 法)を用いてL.pneumophilaをはじめとするLegionella属菌に対するdefensinの抗菌活性を検討した。菌種によって若干感受性が異なるものの、Legionella 属菌に対しては、β-defensinよりもα-defensinの方が強い殺菌活性を示した。一方、colony count 法による検討でE.coli、P.aeruginosa、K.pneumoniaeに対してはα-defensinよりもβ-defensinの方が強い殺菌活性を示した。
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