研究概要 |
CD40を介する刺激は、胚中心B細胞の細胞死を抑制することが細胞培養系で示されており、この報告はCD40を介する刺激が胚中心B細胞の選択に関与する可能性を示唆している。CD40を介する刺激が胚中心B細胞の選択に関与するかを明らかにする目的で、CD40リガンド(CD40L)をB細胞上で発現するマウスでの、胚中心の形成とB細胞の選択について検討した。CD40Lトランスジェニックマウス(CD40L Tg)に,NP化したニワトリγグロブリン(NP-CGG)を免役した。免疫後7,14日目の脾臓のGL7^+B220^+及びPNA^+B220^+の胚中心B細胞は正常マウスの1/3程度に減少していた。このとき、脾臓切片をPNAで染色すると、正常マウスより小型のPNA^+細胞の集塊が観察されるが、免疫後7,14日目でその大きさに変化は見られなかった.また、CD40L Tgマウスでも二次免疫応答は正常に起こることから、メモリーB細胞の生成は阻害されていないことが示唆された。CD40L TgマウスでのB細胞選択を検討するために、NP-CGG免疫後、14日目の脾臓細胞からDNAを抽出し、PCR法により増幅したVH186.2遺伝子をcloningし、塩基配列を決定した。CD40L Tgマウスでは1clone中にみられるmutationの数が、正常マウスの約1/3に減少していた。また、正常マウスより頻度は低いが、高親和性抗体への変換が起きたことの指標となる118番目のGからTへの置換が観察された。以上の結果、CD40L Tgマウスでは、メモリーB細胞の生成、高親和性抗体産生細胞の選択など、胚中心の機能は保たれている一方、胚中心B細胞が減少し、Ig遺伝子への体細胞超突然変異の導入頻度が低下していることが示され、CD40を介する刺激が胚中心B細胞の選択を終了させるシグナルとして機能している可能性が示唆された。
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