研究概要 |
CD4^+細胞にHIV-gp160を発現させると、細胞内にgp160が蓄積してsigle cellレベルで細胞死が誘導される。いの機序を検討したところ、1)この細胞死は細胞内Ca2^+上昇を伴うアポトーシスであり、2)gp160がカルモヂュリンと会合することによって、そのエフェクター作用が誘導されることを見い出した(J.Virol.72:6574-6580,1998)。 次にこの細胞死の誘導機序を解明するため、gp160発現後の細胞内動態を詳細に解析した。その結果、gp160の発現にともなって、ミトコンドリア(mt)外膜の破損が生じ、ミトコンドリア外へのチトクロムc(Cyt-c)の放出が認められた。またそれにともなって、ミトコンドリア膜電位の低下も観察された。 これらの事実から、カルモヂュリンと会合したgp160が、何らかの機序によってmt外膜を破壊、そしてCyt-cの放出およびmt膜電位の低下による一連のカスパーゼ経路を活性化し、その結果細胞死が惹起されていることが強く示唆された。現在このmt外膜の破壊がいかなる機序によってなされているのかについて、より詳細な検討を行っている。
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