研究概要 |
人は日常生活において環境から様々な変異原物質の暴露を受けている。それらの変異原物質は体内で代謝されDNAと結合しDNA付加体を形成する。DNA付加体を測定することは環境変異原物質の暴露指標として有用であり,従来^<32>P-ポストラベル法により測定されてきた。しかし,^<32>P-ポストラベル法は操作が煩雑であり,再現性にも問題があることが知られている。また,薄層クロマトグラフィーの分離能のため多環芳香族等大きな分子による付加体は測定できるが,メチル化等低分子の付加体は同時に測定できない問題もある。そこで,これらの問題点を解決するため薄層クロマトグラフィーに代わり高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用するDNA付加体測定法を検討した。方法としては,HPLCと検出器としてフローセルラジオアイソトープ検出器を使用した。検出器のセルは,液体シンチレーターセル。カラムはODS,移動相は0.2Mぎ酸アンモニウム,20mMリン酸pH4.6と80%メタノールのグラジエントシステムを使用した。 DNA付加体標準品BaP-dG(Midwest research Institute)で鋭利なピークを検出できた。次に,人白血球DNAサンプルを,従来の^<32>P-ポストラベル法に準じて,酸素によりヌクレオチドに分解し,^<32>Pでラベルし,HPLCに注入した。しかし,測定感度が低く検出できなかった。感度を上げるための条件を検討中である。
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