研究概要 |
1 カドミウム曝露レベル別の腎皮質臨界濃度:日本白色種のウサギ30羽を3群に分け,第1群には0.3mgCd/kg、第2群には3mgCd/kgの塩化カドミウムを連日皮下投与し,第3群は無処置とし対照群とした。0.3mgCd/kg、3mgCd/kg群は腎機能異常が発症した時点で,対照群と共に屠殺した。腎皮質のカドミウム臨界濃度は0.3mgCd/kgと3mgCd/kg投与群それぞれが276±44と223±17μg/gで,カドミウム曝露レベルが高いと腎皮質の臨界濃度が有意に低くなる(p<0.001)ことが分かった。次いで、ELISA法により肝のメタロチオネイン測定を試みたが、未だ、測定法自身を確立するに至らず,さらに,検討が必要である。 2 カドミウム曝露レベル別の肝腎機能異常発症機序:発症時に屠殺した対照群、0.3mg/kg群、3mg/kg群各5羽の肝、腎皮質のDNA Fragmentationの有無とTUNNEL染色法によりApoptosisの有無、さらに、HE染色で細胞の壊死について検討した。1)0.3および3mg/kgカドミウム投与群の肝ともにDNA fragmentationが見出されたが、腎皮質ではこの変化が見られなかった。対照群では肝、腎ともにDNA fragmentationが見られなかった。2)TUNNEL染色法によりApoptosis細胞の有無について検討したところ、0.3および3mg/kg群の肝,腎Apoptosis細胞がともに対照群に比しやや増加していた。3)カドミウム投与群にのみHE染色法により肝、腎で壊死細胞が見出された。 3 結論:カドミウム曝露によって起こる肝および腎の障害は肝、腎細胞の壊死性変化によって起こると考えられた。また、カドミウム曝露レベルによって肝腎機能異常の発症機序に違いはないと考えられた。
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