研究概要 |
今日、アジア諸国では住民が飲料水として使用している井戸水の無機砒素汚染によりインドでは約40万人、そして、中国特に内モンゴルや山西省でも、数十万人以上の慢性砒素中毒患者が発生している。最近、我々は井戸水の無機砒素汚染による慢性砒素中毒の発生地域の一つである内モンゴル自治区の井戸水中の元素分析を行った結果、砒素以外にも、高濃度のBa,F,Sr,Fe等が含まれることを明らかにしました。本研究はAsと他の元素が同時に曝露された場合、Asの細胞毒性に対し、他の元素がどのような影響を示すのかを細胞を用いて比較検討した。 研究方法:細胞は正常ヒト肝臓細胞(Chang Liver)を用い、培養液として、10%FBSを含むMEM-Eagleを用いました。細胞をウェル当り約2000個の細胞濃度で96ウェルプレートに播種し、約18時間培養後、2つの実験を行った。実験1としてAs,F,Sr,Fe,Se,Cu,Zn,Mn,Ni,Baの10元素を100μMになるようにそれぞれ単独で添加した条件での時間培養した。実験2としてAsと他の元素との間の相互作用を調べるため、F,Sr,Fe,Se,Cu,Zn,Mn,Ni,Baを培地に添加後、5,10,50,100μMになるように調製し、それぞれ10μMになるように調製したAsと同時に添加した条件で24時間培養した。細胞毒性の評価は酸化還元型の色素であるアラマーブルーを用いた。 研究結果As,F,Se,Cu,Zn,Mh,Ni,Fe,Ba,Srの10元素を100μMになるようにそれぞれ単独で添加した条件下で培養したところ、各元素により細胞増殖は,As,Seの順で著しく抑制されました。Cuは弱い抑制が認められた。Asの毒性の軽減作用を示した元素はF,Fe、これに対して増強作用を示した元素はSe,Cuであった。
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