1.注意欠陥・多動性障害(ADHD)の客観的評価法について、診断、亜型分類、薬物治療効果判定での有用性を検討するために、ADHD群20例、対照群21例の小学生男児に、アクティグラフによる体動測定、コンティニアスパフォーマンステスト(CPT)、WISC-Rを施行した。また、薬物治療適応例12例にmethylphenidate投与後、再検査を施行し、投与前と投与後に、Connersの評価尺度で日常場面での母親と教師による評価を調べた。 2.ADHD群と対照群を判別する際のカットオフポイントとして、アクティグラフの初期10分間平均体動量と、CPTの誤反応数と、脱反応数で、75百分位数+0.5BOX長が採用され、いずれの測定量でも75%以上の十分な大きさの敏感度と特異度でADHD群と対照群が判別された。尚、アクティグラフの全検査時間平均体動量より、初期10分間平均体動量の方が両群を鋭敏に判別する結果となった。 3.初期10分間平均体動量、誤反応数、脱反応数のデータに基づいて、客観的評価法による亜型分類を試み、9通りの亜型を抽出した。ADHD群は主に、混合型、衝動型、多動・衝動型、不注意型に該当した。 4.薬物治療の効果判定では、服薬者12名にBarkleyの精神刺激剤副作用評価尺度にて副作用が認められたものは無く、服薬後、初期10分間平均体動量と誤反応数に有意な改善を認め、脱反応数でも改善傾向を認めた。また、教師の評価では有意な改善を認めたが、母親の評価では変化を認めなかった。 5.以上の結果から、診断、亜型分類、薬物治療の効果判定において、アクティグラフ、CPTを組み合わせた客観的評価法が有用と考えられた。
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