閉経後のコレステロール値の上昇の個体差-環境要因と遺伝因子-を解析するために、企業に勤めている35歳以上の女性184名についてインフォームド・コンセントを行った上で試料(血液)を収集し、合わせて自記式と対面式アンケート調査を行った。総コレステロール(T.Cho)値、LDL-コレステロール値、リポタンパク分画などの脂質値および二次的に高脂血症を引き起こす可能性のある疾患を除外するための生化学検査を行った。また、過去の検査データ等についてもデータを収集し、入力している。 環境要因としては、女性の閉経に伴う体内環境の変化を考えている。更年期頃からT.Cho値は急速に高くなる傾向がある。生活習慣病として、女性の高脂血症を見る上でこの時期(閉経前後)が重要である。アンケート調査に加えて、FSH等の性ホルモンの検査を行い、閉経前か閉経期か、あるいは閉経後かを客観的に評価した。喫煙や飲酒習慣についても同時に調査した。 一方で、更年期を過ぎてもT.Cho値が高くならない女性もいる。このような個体差には遺伝因子が深く関わっていると考える。遺伝因子として、アポリポタンパクの遺伝子型の分析を行っている。分析能力を上げるために、100μlの血液から抽出したDNAによるスモールスケールでの実験条件を整えた。現在、収集した検体の分析を継続中である。 更年期女性のコレステロール値の上昇について、環境要因と遺伝因子との相互関係の解析を行うデータが揃いつつある。次年度で、総合的な解析結果をまとめる予定である。
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