1. 研究を構成する、目的活動、意味ある作業、人と環境、等についての文献レビューを行い、その概念を明らかにすることで、生活場面での訓練の必要性を裏付けた。 (1) 目的活動とは、ゴールが方向付けられた行動又は個人にとって意味ある課題であり、人(遂行者)は作業の一部として目的活動を使用する。よって、目的活動を治療として使用する場合には、個別的で意味ある活動を使用するべきであるとした。 (2) 作業とは、人々が行う、ごく通常の行為であり、人に意味を与え、日常生活にわたって人々の時間を満足させ、活動を保証するものである。カナダで開発されたカナダ作業遂行測定(COPM)は、日常生活におけるクライエントの認識を評価するもので、個々のクライエントにとっての作業の意味を評価できる評価法である。 (3) 運動技能修得のためのイベントアプローチや人と環境の関係を意味付けるアフォーダンス理論では、遂行者と環境(課題と物)を1つの単位として共に考慮すべきだとしている。この場合の環境とは遂行者の行動を外的に支持し、意味を与えるものとして人と環境とのつながりの重要性や、最適な環境で課題を繰り返すことの重要性を強調した。 以上のレビューより、人が主体的に行う作業には意味と目的が存在しており、それは遂行者自信とその環境に影響されるということが明らかになった。 (4) トランスファー評価表について文献レビューを行ったが、単独の評価表は存在しなかった。よって、トランスファーを動作分析し、ブレーキ操作や足の位置の確認などをも含んだ、独自のトランスファー得点評価表を作成した。 2. 同市の訪問看護ステーションに依頼して訪問業務に同伴させてもらい、在宅生活でのトランスファー繰り返し訓練の対象者を探すためのフィールドを確保した。
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