今年度は、まずフルニトラゼパム及びその代謝物につき、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の条件設定、HPLC/質量分析(MS)法の条件設定及びスペクトルの解析から開始した。 1. フルニトラゼパムとその代謝物5種につき種々のカラム及び移動相を用い最適なHPLC条件を検討した。カラムは関東化学社製Mightysil RP-18GP(15cmx3.0mm)、移動相としてはアセトニトリル(A)90%:10mM酢酸アンモニウム(B)10%からA50%:B50%でのグラジエント溶出を行い、流速は0.2ml/分で行うことによりフルニトラゼパムと5種類の代謝物を良好に分離することができた。 2. HPLC/MS(/MS)にてエレクトロスプレーイオン化(ESI)及び大気圧化学イオン化(APCI)の2種のイオン化法を用い、最適な検出条件を検討した。HPLC条件は上記1で設定した条件を用いた。 まずHPLC/MSにてスペクトルを測定し検討した。APCIよりESIによるイオン化の方が良好なスペクトルが得られ、ESIでは6種類すべてでM+H擬分子イオンが基準ピークとなり、他には小さなフラグメントイオンが出現するのみであった。キャピラリー温度は24℃に設定した場合最も感度よく測定することができた。 次に、各物質の擬分子イオンをブリカーサーイオンとしてHPLC/MS/MSによるプロダクトイオンスキャンを行った。衝突解離(CID)電圧を-20 eVとした場合、CIDスペクトルはほとんど一本のプロダクトイオンが認められた。CID電圧を-30 eVとした場合には、より多くのプロダクトイオンが出現した。 他のベンゾジアゼピン系向精神薬についても検討したところ、ほぼ同様の結果が得られた。
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