心臓性突然死の実験モデル動物としてDahl Sラットを使いそのコントロールラットであるDahl Rラットとの間でのHSP蛋白質の発現量の差異が観察されるかWestern blot法により比較検討した。本年度は特に心臓性突然死をおこした症例において発現が減少しているとすでに報告されたHSP90、その他HSP70、HSP72についても検討を行った。 心筋全体を用いたWestern blot法では両者の間でHSP90、HSP70、HSP72の発現量の差異は観察されなかった。しかしながら、HSP90に関してはDahl Sラットの左室中隔部分でその発現がやや減少していることを示す結果を得た。 心臓性突然死をきたしたと考えられる症例の心筋を用いて同様の実験を行った。HSP90の発現量が突然死をきたしたラットの心筋左室中隔部分で減少していたことからこれについて剖検によって得られた心筋を用いて検討したが、コントロールの心筋と比較して明確な差は検出されなかった。 交付申請書に記載した平成10年度の研究計画書に従い上記の結果を得た。剖検によって得られた心筋では死後変化などの要素によりHSPの発現量の変化が検出されなかった可能性があるものと考えられる。モデル動物ではHSP90の発現量の変化が検出されており、今後HSP90にしぼって心筋内での局在について研究を進めていく予定である。
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