1. 慢性関節リウマチ骨芽細胞におけるメタロプロテアーゼの発現 (1) 骨芽細胞を慢性関節リウマチと変形性関節症患者の同意を得て取得した。骨芽細胞にIL-1βを添加して48時間後、その培養上清をGelatin zymographyで分析した結果、濃度依存性に66kD付近にgelatinase活性の増加が認められた。 (2) このGelatin zymographyで検出されたバンドがMMP-2であることを抗MMP-2抗体を使用したImmunoblot analysisで証明した。 (3) 次に、骨芽細胞にIL-1βを添加後、骨芽細胞にMMP-2を特異的に活性化する細胞膜貫通性メタロプロテアーゼ-1(membrane type matrix metalloprotease-1;MT-MMP-1)が発現していることをImmunoblot analysisで証明した。 (4) また、半定量PCR法によってメッセージレベルでもIL-1β刺激骨芽細胞上にMT-MMP-1が発現していることを証明した。 以上の結果から、炎症性サイトカインは、骨芽細胞のMMP-2の産生を増強させると同時に、骨芽細胞上のMT-MMP-1の発現を増強し、MMP-2の活性化を促し、関節局所の組織破壊に関与していることを示唆した。 2. 慢性関節リウマチ骨芽細胞におけるアポトーシスの誘導 (1) 慢性関節リウマチ患者から得られた骨芽細胞にTNF-αを添加すると、Fasの発現が増強することをFlow cytometryで証明した。 (2) さらにFasを加えることによってアポトーシスを誘導することをヘキスト33258の写真で実証した。 以上の結果から、炎症性サイトカインは、骨芽細胞にFasを発現させ、アポトーシスを誘導し、関節周囲の骨吸収にも関与している可能性を示唆した。
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