研究概要 |
平成10年度研究結果 1. 免疫組織染色によるサイトカイン蛋白発現の検索 未治療多発性筋炎(PM)患者の上腕二頭筋より得られた筋生検ブロックから凍結薄切標本を作成し、IL-15、MCP-1、MIP-1α、RANTESに対する抗体を用いて免疫組織染色を行った。IL-15は浸潤マクロファージと変性筋細胞に発現を認めた。IL-15陽性筋細胞の周囲には炎症性細胞浸潤が強い傾向を認めた。MCP-1は浸潤マクロファージに発現を認めたが、筋細胞には陰性であった。MIP-1α、RANTESは殆どの標本で陰性であった。以上より(1)PMの筋細胞から産生されたIL-15が、筋細胞周囲への炎症細胞浸潤を誘導している可能性(2)MCP-1が筋炎でのマクロファージ浸潤に関与している可能性が示唆された。しかし、同じくT細胞やマクロファージの遊走に係わるMIP-1αやRANTESは筋炎への関与は少ないものと予測された。 2. In Situハイブリダイゼーション 以上より、PM筋組織において、IL-15、MCP-1の蛋白発現が確認されたため、遺伝子レベルでの発現の有無を、In Situハイブリダイゼーションにて検討することとした。 まず、IL-15のPCRプライマーを作成した。sense primer5'-CCAGTGCTACTTGTGTTTAC,anti-sense primer5'-TCCTCCAGTTCCTCACATTA。ヒト胎児骨肉腫細胞(CCL-136)より得たRNAをテンプレートとし、RT-PCRを行った。PCR産物をシークエンスし、目的クローンを選択し、senseおよびanti-senseanti-senseのRNAプローブを作成した。今後は、このプローブを用いてIn Situハイブリダイゼーションを行う予定である。
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