研究課題/領域番号 |
10770206
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
濱野 慶朋 順天堂大学, 医学部, 助手 (10281354)
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研究分担者 |
白井 俊一 順天堂大学, 医学部, 教授 (30115860)
廣瀬 幸子 順天堂大学, 医学部, 助教授 (00127127)
張 丹青 順天堂大学, 医学部, 助手 (40296877)
姜 奕 順天堂大学, 医学部, 助手 (50276466)
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キーワード | B細胞性慢性リンパ性白血病 / B-1細胞 / マイクロサテライトDNA / H-2 / 量的形質遺伝子座(QTL) |
研究概要 |
NewZealandWhite(NZW)マウスにはB1細胞の異常増殖によるB細胞性慢性リンパ性白血病(BCLL)が高率に発症し、この形質がいくつかの遺伝要因に規定されていることを我々は今までに明らかにしている。その一つにマウスのMHCであるH-2に連鎖した遺伝子があげられる。すなわち、NZW型のH-2^<z/z>を持つB10.NZWマウス系では、これを持たないH-2^<d/d>のB10.D2マウスに比較して、有意に末梢血中のB1細胞比率が増加する。しかしながら、NZWでは月齢依存性のB1細胞のclonalな増殖と、これに続くBCLLの高率な発症が見られるのに対して、B10.NZWではB1細胞の月齢依存性の増殖は見られるが、その程度はNZWに比べ有意に低く、BCLLの発症も認められない。したがってNZWにはH-2連鎖遺伝子とは別のB1細胞増殖遺伝子が存在すると考えられる。本研究では、このH-2連鎖遺伝子以外のB1細胞増殖遺伝子の同定を目的として、遺伝的連鎖解析を行った。 BCLLの発症にはH-2^<z/z>をの存在が必要であるため、H-2^<z/z>を有する退交配マウス(NZW x B10.NZW)x B10.NZWを140匹作成し、NZWとB10.NZW間で多型を認めた合計103個のmicrosatellite DNA markerを用いて全ゲノムマッピングを行った。退交配マウスの8カ月齢および16カ月齢での抹消血中のB1細胞比率を測定し、microsatellite DNA markerによるタイピングとの関連をχ^2検定で解析し、さらにMAPMAKER/QTL(quantitative trait loci)解析ソフトを用いて遺伝子座位の推定を行った。その結果、NZWマウスの第13ならびに第17染色体上のいずれもセントロメア側に各々1個のB1細胞増殖遺伝子が同定され、これらを各々Bpal(B1 cell proliferation-associated locus)-2,-3と名付けた(Blood 92:3772,1998)。候補遺伝子として、第13染色体上にはprolactin遺伝子やinhibinβA遺伝子が、第17染色体上にはinsulin-like growth facter 2 receptor遺伝子がマップされている。これらの遺伝子産物はいずれもリンパ球での発現が認められており、リンパ球の分化・増殖に影響を与えることが確認されている因子であるため、現在、NZWとB10マウス系の間でのこれらの遺伝子の多型の有無について解析中である。
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